観客同士の間に、情報量の差や解釈の差を生じさせることで、異なる現象を体験させる原理、デュアルリアリティ(Dual Reality)についてのメモです。特にメンタリズムの現象を考える上で、応用の効く原理といえます。
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デュアルリアリティとは
Magicpediaの内容を要約すると、「特定の単語の捉え方の違いにより、複数の観客が異なる現象を体験している状態」のことを言うようです。この概念そのものは、デュアルリアリティという表現が出現する以前より存在したようですが、特に1990年代以降、Kenton Knepper というメンタリストによって用語が広められたとされています1。
コメント
このデュアルリアリティの原理を利用することで、不可能性の高い現象を演出することができます。一方で、異なる現象を体験している観客同士にコミュニケーションが生じた場合のケアを考える必要もでてきます。個人的には、研究しがいのある面白い概念だと考えており、注目しています。
現象の具体例と解説
あくまで私の認識ですが、デュアルリアリティについての具体例を見ていきましょう。
元ネタは『ブルース・バーンスタイン メンタルマジック UNREAL』2 3のマジックだと思われますが、そちらを少し改変したマジックを例にして説明します。
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次のような現象について考えます。
- マジシャンが1人の観客をステージに上げます。
- マジシャンは「では今から、動物の絵を書いてもらいます。この紙にあなたのイメージをご自由にお書き下さい。」と言います。
- 書いた絵を、他の観客に見せると、そこには犬の絵が書かれています。
- テーブルの上に空の箱があります。
- 指を鳴らして、箱を開けると、犬のぬいぐるみが出てきます。
他の観客からすると、自由にイメージした動物のぬいぐるみが出てきたように見えます。
しかし、以下の理由から、ステージ上の観客は、少し異なる現象を体験しています。
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