最近、確率を計算して、勘違いに気づいたマジックがあります。ACAAN(Any Card At Any Number)です。
ACAANとは、好きなカードと1から52までの数字を指定してもらうと、指定された枚数目から、指定されたカードが出現するというマジックです。
カードは52枚、数字は52個あるので、カードと数字の組み合わせは52×52で2704通り存在します。ですが、確率は1/2704かというと、そうではありません。1/52になります。この点を勘違いしていました。
例えば「スペードのA」と「1」という組み合わせを宣言された場合で考えてみると分かりますが、デックのトップにスペードのAが置かれている確率は、1/52になります。
これは、指定された位置以外の並びは入れ替わっても構わないため、入れ替わる部分の順列で割ることになるからです。52枚のカードの順列(52!)を、それら以外のカードの順列(51!)で割ると、52となりますよね。
確かに、カードと枚数目の組み合わせは2704通りありますが、確率的には、52枚のカードのうち、1枚のカードを自由に宣言してもらい、それを当てるというThink of a Card 現象と変わらないわけです。
直感的には、カードと枚数目という2つの要素をコントロールする必要があるように思えるため、ACAANはThink of a Card現象よりも難しく感じられます。台詞も「組み合わせは2704通りあります。」と言う方が、「確率は1/52です。」と言うよりも不可能に思われます。
自分は計算するまで1/2704だと勘違いしていました。トリックに意図的に仕組んだ間違いは問題ありませんが、トリックとは関係ない部分での間違った説明は避けたいものです。一方、実際の確率を理解しつつ、あえて「組み合わせは2704通りあります」などと言って、1/2704であるかのように誤認させ、不可能な現象に見せるのは良いと思います。
普段、何気なく使っているマジックの台詞の正誤を、客観的に評価するのも大事だなと思いました。
また、同じ確率のマジックでも、演出により不可能性を増すことができるとも言えるので、そのような演出方法が無いかを考えるのも面白いかもしれません。